2017年11月一覧

JRA賞年度代表馬を辿る(其の拾玖)-アドマイヤムーン(2003.2.23)-

アドマイヤムーン 牡 鹿毛 2003.2.23生 早来・ノーザンファーム生産 馬主・近藤利一氏、吉田勝己氏→ダーレー・ジャパン・ファーム(有)→ダーレー・ジャパン 栗東・松田博資厩舎

アドマイヤムーン(2003.2.23)の4代血統表
エンドスウィープ
鹿毛 1991.5.31
種付け時活性値:0.75
フォーティナイナー
栗毛 1985.5.11
Mr.Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native 1961.4.18
Gold Digger 1962.5.28
File
栗毛 1976.4.30
Tom Rolfe 1962.4.14
Continue 1958.2.23
Broom Dance
鹿毛 1979.4.10
Dance Spell
鹿毛 1973.3.29
Northern Dancer 1961.5.27
Obeah 1965.4.15
Witching Hour
鹿毛 1960.3.31
Thinking Cap 1952
Enchanted Eve 1949
マイケイティーズ
黒鹿毛 1998.5.18
仔受胎時活性値:1.00
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
種付け時活性値:0.75
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
ケイティーズファースト
鹿毛 1987.3.6
仔受胎時活性値:0.50
Kris
栗毛 1976.3.23
種付け時活性値:0.50
Sharpen Up 1969.3.17
Doubly Sure 1971.5.3
Katies
黒鹿毛 1981.4.22
仔受胎時活性値:1.25
ノノアルコ
鹿毛 1971.4.6
種付け時活性値:0.25
Mortefontaine
鹿毛 1969.4.21
仔受胎時活性値:0.75

<5代血統表内のクロス:Nearctic5×5>

アドマイヤムーン(2003.2.23)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
エンドスウィープ
(Mr.Prospector系)
サンデーサイレンス
(Halo系)
Kris
(エタン系)
ノノアルコ
(Nearctic系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
エンドスウィープ 3.50 大叔母ヒシアマゾン
(No. 7-f)
2番仔
(2連産目)

*

第12回ドバイデューティーフリー(UAE・GI。ナド・アルシバ芝1777m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 10 アドマイヤムーン 牡4 57 武豊 1:47.94 松田博資
2 16 Linngari 牡5 57 K Shea 1/2 H J Brown
3 13 ダイワメジャー 牡6 57 安藤勝己 4 1/4 上原博之
4 1 Seihali 牡8 57 Johnny Murtagh 2 D Selvaratnam
5 7 Kapil せん5 57 Robbie Fradd ハナ M F De Kock

2007年の第12回ドバイデューティーフリー。見上げれば夜空に輝く中東の月。ナド・アルシバ競馬場の芝1777mで勝利を収めたアドマイヤムーン、のちにJRAが彼に与えたキャッチコピーは「世界が見上げた月。」。アドマイヤムーン、異国の地における、見事なGI初制覇でした。

*

第58回宝塚記念(GI。阪神芝2200m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 6 アドマイヤムーン 牡4 58 岩田康誠 2:12.4    36.2 468
[+8]
松田博資 3
2 17 メイショウサムソン 牡4 58 石橋守 2:12.5 1/2 36.6 518
[+2]
高橋成忠 2
3 5 ポップロック 牡6 58 武豊 2:12.8 2 36.5 498
[+8]
角居勝彦 4
4 9 アドマイヤフジ 牡5 58 福永祐一 2:12.9 クビ 36.4 518
[0]
橋田満 13
5 13 ファストタテヤマ 牡8 58 小牧太 2:13.0 1/2 36.4 470
[0]
安田伊佐夫 16

2007年の第58回宝塚記念。蜜月が途切れた後の鞍上には岩田康誠騎手の姿がありました。岩田騎手、テン乗りとなったアドマイヤムーンを巧みに御し、道中後方待機から3角4角で進出、直線は外から抜け出しに掛かり、内のメイショウサムソン(2003.3.7)を抑えてJRAGI初勝利を収めました。

*

第27回ジャパンカップ(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 4 アドマイヤムーン 牡4 57 岩田康誠 2:24.7    33.9 480
[+8]
松田博資 5
2 2 ポップロック 牡6 57 O.ペリエ 2:24.7 アタマ 33.9 502
[+6]
角居勝彦 4
3 10 メイショウサムソン 牡4 57 武豊 2:24.7 クビ 33.9 518
[0]
高橋成忠 1
4 11 ウオッカ 牝3 53 四位洋文 2:24.9 1 33.6 488
[-4]
角居勝彦 2
l5 18 デルタブルース 牡6 57 川田将雅 2:25.1 1.1/4 34.4 526
[+2]
角居勝彦 14

2007年の第27回ジャパンカップ。アドマイヤムーンの4歳初戦となった雨中の京都記念(GII)。第100回となった正に記念の京都記念、淀芝2200mを59kgを背負いながら制した際、「あぁ強いなぁ」と、単純に思ったのでした。その時のタイム差なしの2着がポップロック(2001.3.19)。9ヶ月後、今度は舞台を晴天の府中芝2400mに移しましたが、やっぱりタイム差なしで1着、2着となりました。3歳時は良家のお坊ちゃん然とした感じだったアドマイヤムーンに、凌ぎ切る強さが、加わっていました。

そしてまた、内枠を利して、2400mを2400mとして走らせた岩田康誠騎手の好騎乗も光りました。上位3頭は4コーナーの位置が同じ4番手あたりでしたが、同じ上がり3ハロン33秒9の鋭脚を使っても、同じ2分24秒7の走破時計でも、内を通った順に1着、2着、3着となったのでした。終わってみれば、「アタマ」「クビ」の勝負だけに、オリビエ・ペリエ騎手、武豊騎手は悔しい思いをされたのではないでしょうか。

併せて、角居勝彦厩舎は3頭出しで2着、4着、5着。勝つことは出来なかったものの、いずれもが頑張り、すべて掲示板に乗りました。後のジャパンカップにつながるということでは、やはりウオッカ(2004.4.4)。出走メンバー中最速の上り3F33秒6で詰め寄りましたが4着まで。全戦績を辿ると東京芝12戦6勝、2着3回、3着2回という府中の申し子が、唯一府中で複勝圏に入ることが出来なかったレース。それがこの第27回ジャパンカップでした。

*

4歳半ばにダーレーに40億円という巨額でトレードされたアドマイヤムーン。引退後はダーレー・ジャパン・スタリオン・コンプレックスで供用され、

  1. セイウンコウセイ(2013.3.8)
    →高松宮記念(GI)ほか
  2. ハクサンムーン(2009.2.14)
    →セントウルS(GII)、京阪杯(GIII)、アイビスサマーダッシュ(GIII)ほか
  3. レオアクティブ(2009.2.22)
    →京王杯2歳S(GII)、京成杯AH(GIII)ほか。芝1600mの日本レコードホルダー(1分30秒7)
  4. ファインニードル(2013.4.26)
    →セントウルS
  5. アルキメデス(2009.3.24)
    →朝日チャレンジC(GIII)ほか
  6. ファインチョイス(2009.1.24)
    →函館2歳S(GIII)ほか
  7. オースミムーン(2009.4.9)
    →東京ハイジャンプ(J・GII)、阪神ジャンプS(J・GIII)2回、東京ジャンプS(J・GIII)、京都ジャンプS(J・GIII)、小倉サマージャンプ(J・GIII)

等を始めとして、活躍馬を送り込んでいます。アドマイヤムーン自身は選手権距離をこなしましたが、産駒は短距離で好成績を残す馬が多い印象ですね。

アドマイヤムーン、男盛りの14歳、これからも良い仔を送り込み続けて欲しいものです。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。


第37回ジャパンカップ(GI)の勝ち馬

シュヴァルグラン 牡 栗毛 2012.3.14生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・佐々木主浩氏 栗東・友道康夫厩舎

シュヴァルグラン(2012.3.14)の4代血統表
ハーツクライ
鹿毛 2001.4.15
種付け時活性値:0.50
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
アイリッシュダンス
鹿毛 1990.3.26
トニービン
鹿毛 1983.4.7
カンパラ 1976.2.19
Severn Bridge 1965
ビユーパーダンス
黒鹿毛 1983.2.26
Lyphard 1969.5.10
My Bupers 1967.6.1
ハルーワスウィート
栗毛 2001.3.12
仔受胎時活性値:0.50
Machiavellian
黒鹿毛 1987.1.31
種付け時活性値:1.25
★Mr. Prospector
鹿毛 1970.1.28
★Raise a Native 1961.4.18
Gold Digger 1962.5.28
Coup de Folie
鹿毛 1982.4.2
Halo 1969.2.7
Raise the Standard 1978.3.31
ハルーワソング
栗毛 1996.5.15
仔受胎時活性値:1.00
Nureyev
鹿毛 1977.5.2
種付け時活性値:0.50
Northern Dancer 1961.5.27
Special 1969.3.28
Morn of Song
鹿毛 1988.3.20
仔受胎時活性値:1.75
Blushing Groom
栗毛 1974.4.8
種付け時活性値:1.25
Glorious Song
鹿毛 1976.4.22
仔受胎時活性値:0.75

<5代血統表内のクロス:Halo3×4×5、Northern Dancer5×4、Natalma5×5(母方)>

シュヴァルグラン(2012.3.14)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ハーツクライ
(Halo系)
Machiavellian
(Mr. Prospector系)
Nureyev
(Northern Dancer系)
Blushing Groom
(Red God系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Machiavellian 4.00 3きょうだいGI制覇
(No. 12-c)
4番仔
(不受胎後)

*

第37回ジャパンカップ(GI。東京芝2400m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 1 シュヴァルグラン 牡5 57 H.ボウマン 2:23.7    34.7 470
[-2]
友道康夫 5
2 2 レイデオロ 牡3 55 C.ルメール 2:23.9 1 1/4 34.6 484
[+8]
藤沢和雄 2
3 4 キタサンブラック 牡5 57 武豊 2:23.9 クビ 35.3 542
[0]
清水久詞 1
4 11 マカヒキ 牡4 57 内田博幸 2:24.6 4 35.1 500
[-4]
友道康夫 6
5 14 アイダホ 牡4 57 R.ムーア 2:24.7 クビ 35.1 480
[前計不]
A.オブライエン 10

2017年の第37回ジャパンカップ。シュヴァルグラン、1枠1番からの発進、道中は先行4番手に付け、逃げたキタサンブラック(2012.3.10)の動向をマーク。豪州では名牝Winx(2011.9.14)の鞍上としても知られる名手ヒュー・ボウマン騎手との初めてのコンタクトに応えて、シュヴァルグラン。逃げ粘るキタサンブラックを外から交わし切った後は、シュヴァルグランとボウマン騎手の世界。最後、レイデオロ(2014.2.5)が更に外から詰め寄りましたが、決勝点では1と4分の1馬身差。初のGI勝利がジャパンカップとなったシュヴァルグラン、完勝を以て、第37代のジャパンカップ勝ち馬としてその名を刻みました。シュヴァルグラン(Cheval Grand)、馬名は「偉大な馬」という意味の仏語。

では、以下にシュヴァルグランのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

ハルーワソング 1996.5.15 不出走
|ハルーワスウィート 2001.3.12 5勝
||ヴィルシーナ 2009.3.5 5勝 ヴィクトリアマイル(GI)2回 クイーンカップ(GIII)ほか
||シュヴァルグラン 2012.3.14 (本馬) ジャパンカップ(GI) 阪神大賞典(GII) アルゼンチン共和国杯(GII)ほか
||ヴィブロス 2013.4.9 現役 ドバイターフ(UAE・GI) 秋華賞(GI)ほか
|フレールジャック 2008.5.25 4勝 ラジオNIKKEI賞(GIII)ほか
|マーティンボロ 2009.8.20 7勝 新潟記念(GIII) 中日新聞杯(GIII)ほか

言わずもがなの12号族。近親牝系図では示しませんでしたが、シュヴァルグランの高祖母Glorious Songの仔シングスピール(1992.2.25)は、1996年の第16回ジャパンカップの勝ち馬です。近親牝系図に名前を挙げた馬たちは、ハルーワソング以外は、いずれも友道康夫調教師の管理馬。ジャパンカップの共同会見で友道調教師は「毎回GIの前に言ってるんですけど、本当にいつも“この馬にGIを獲らせてあげたい”と思っています」とおっしゃっていましたけれど、思い入れのある血統でしょうし、GIを勝つ力量があると信じればこそだったのでしょう。

シュヴァルグランの母ハルーワスウィートは「尻尾がない馬」として、現役時代に時折話題に上がる馬でした。佐々木主浩オーナーは、そんな彼女をずっと応援されていて、仔を買い求め続けられています。そうして成されたのが、ヴィルシーナ、シュヴァルグラン、ヴィブロスの「3きょうだいによるGI制覇」の大偉業。

JRA(前身団体を含む)における3きょうだいによるGI級レースの制覇は、

  1. フリッパンシー(1924)
    1. タイホウ(繁殖名・大鵬)(1929.4.10)
      →帝室御賞典・横浜
    2. セントライト(1938.4.2)
      →史上初の三冠馬。東京優駿競走(現東京優駿、GI)、横浜農林省賞典四歳呼馬(現皐月賞、GI)、京都農林省賞典四歳呼馬(現菊花賞、GI)。JRA顕彰馬
    3. クリヒカリ(旧名・アルバイト)(1939.4.10)
      →横浜農林省賞典四歳呼馬、帝室御賞典・秋(現天皇賞・秋、GI)
    4. トサミドリ(1946.5.20)
      →皐月賞、菊花賞。八大競走勝ち馬7頭を送り込んだ大種牡馬。JRA顕彰馬
  2. ダンシングキイ(1983.5.21)
    1. ダンスパートナー(1992.5.25)
      →優駿牝馬(GI)、エリザベス女王杯(GI)
    2. ダンスインザダーク(1993.6.5)
      →菊花賞
    3. ダンスインザムード(2001.4.10)
      →桜花賞(GI)、ヴィクトリアマイル
  3. ハルーワスウィート(2001.3.12)
    1. ヴィルシーナ(2009.3.5)
      →ヴィクトリアマイル2回
    2. シュヴァルグラン(2012.3.14)
      →ジャパンカップ
    3. ヴィブロス(2013.4.9)
      →ドバイターフ、秋華賞

と、ハルーワスウィートの送り出した3きょうだいが、史上3例目の快挙となりました。しかし、フリッパンシーの繁殖成績は物凄いですね。4頭のGI級レース勝ち馬でJRA顕彰馬2頭。JRA顕彰馬2頭を送り込んだ母は、2017年現在、フリッパンシー唯1頭です。

*

ついに成し得たGI勝利。「偉大な馬」という名前に負けず、GI馬となったシュヴァルグラン。この後に向かうのは、恐らく、第62回有馬記念(GI)でしょう。役者が揃う暮れの大一番も楽しみにしたいと思います。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

<参考WEB>


2018年のクラシック候補生を確認する(其の捌)

ハヤブサマカオー 牡 栗毛 2015.3.3生 新ひだか・グランド牧場生産 馬主・武田修氏 美浦・伊藤圭三厩舎

ハヤブサマカオー(2015.3.3)の4代血統表
シニスターミニスター
鹿毛 2003.3.29
種付け時活性値:0.75
Old Trieste
栗毛 1995.3.2
A.P. Indy
黒鹿毛 1989.3.31
Seattle Slew 1974.2.15
Weekend Surprise 1980.4.8
Lovlier Linda
栗毛 1980.5.17
Vigors 1973
Linda Summers 1967.2.28
Sweet Minister
鹿毛 1997.4.3
The Prime Minister
鹿毛 1987.4.15
Deputy Minister 1979.5.17
Stick to Beauty 1973.4.17
Sweet Blue
黒鹿毛 1985.4.15
Hurry Up Blue 1977.5.16
Sugar Gold 1980.4.22
ハヤブサエミネンス
鹿毛 2007.2.25
仔受胎時活性値:1.75
Medaglia d’Oro
黒鹿毛 1999.4.11
種付け時活性値:1.75
El Prado
芦毛 1989.2.3
Sadler’s Wells 1981.4.11
Lady Capulet 1974.4.3
Cappucino Bay
鹿毛 1989.2.12
Bailjumper 1974.3.28
Dubbed In 1973.5.31
プリエミネンス
鹿毛 1997.4.18
仔受胎時活性値:0.25
アフリート
栗毛 1984.4.10
種付け時活性値:1.00
Mr. Prospector 1970.1.128
Polite Lady 1977.3.13
アジテーション
鹿毛 1989.5.24
仔受胎時活性値:1.75
★Caerleon
鹿毛 1980.3.27
種付け時活性値:0.00
Run the Risk
鹿毛 1976.3.9
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:Mr. Prospector5×4>

ハヤブサマカオー(2015.3.3)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
シニスターミニスター
(Seattle Slew系)
Medaglia d’Oro
(Sadler’s Wells系)
アフリート
(Mr. Prospector系)
★Caerleon
(Nijinsky系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Medaglia d’Oro
(Bailjumper)
4.75 祖母が重賞8勝の活躍馬
(No. 5-d)
初仔

2017年の第19回兵庫ジュニアグランプリ(JpnII)。デビュー戦の札幌ダート1700mを1.7秒差の大差勝ち、2戦目の京都ダート1400mのなでしこ賞を0秒7差の4馬身差勝ちと連勝でここに挑んだハヤブサマカオー。単勝1.1倍の圧倒的1番人気に推されたこの一戦、クリストフ・ルメール騎手に促されて、過去2戦同様、軽快な逃げ。ただ、敵もさるもので、3番人気のアスターソード(2015.5.21)と和田竜二騎手が3角から4角に掛けて並びかけると、直線は一騎打ち。気迫あふれる追い合いでしたが、ハヤブサマカオーの脚色には余裕がありました。結果、決勝点での着差はクビ差でしたが完勝。ハヤブサマカオー、デビュー以来無敗、3戦3勝での重賞初制覇となりました。ハヤブサマカオー、その馬名意味は「冠名+マカ(生命力が強い植物)+王」ということです。

ハヤブサマカオーの最優性先祖である母父Medaglia d’Oroは、現役時代に8勝を挙げ、その主な勝ち鞍に第133回トラヴァーズS(米GI)、第76回ホイットニーH(米GI)、第46回ドンH(当時米GI)、オークローンH(米GII)、ジムダンディS(米GII)、サンフェリペS(米GII)、ストラブS(米GII)と米国のグレードレースを7勝の活躍馬でした。

勝利を収めた3つのGIレースからも分かるように、米国の最強路線を走ったMedaglia d’Oroですが、ブリーダーズカップ・クラシック(米GI)2着2回(第19回と第20回)、第9回ドバイワールドカップ(UAE・GI)2着、第134回ベルモントS(米GI)2着、第13回パシフィッククラシックS(米GI)2着、第78回ウッドメモリアルS(当時米GI、現米GII)2着とGI2着が6回を数えました。

「Medaglia d’Oro(メダーリアドーロ)」とは伊語で「金メダル」を意味しますけれど、競走成績では一歩届かない「銀メダル」も多く獲得したMedaglia d’Oro。その悔しさは世代を重ねる時に晴らされました。以下、代表産駒と共に示すGIレースのレース名および格付けは、いずれも施行当時のものです。

  1. Rachel Alexandra(2006.1.29)
    →プリークネスS(米GI)、ケンタッキーオークス(米GI)、ハスケル招待S(米GI)、ウッドワードS(米GI)、マザーグースS(米GI)ほか
  2. ギャビーズゴールデンギャル(2006.4.3)
    →エイコーンS(米GI)、サンタモニカH(米GI)
  3. C. S. Silk(2006.3.24)
    →ジャストアゲームS(米GI)ほか
  4. Warrior’s Reward(2006.4.3)
    →カーターH(米GI)ほか
  5. シャンパンドーロ(2007.2.7)
    →エイコーンS、テストS(米GI)ほか
  6. Passion for Gold(2007)
    →クリテリウムドサンクルー(仏GI)ほか
  7. Marketing Mix(2008.4.8)
    →ゲイムリーS(米GI)、ロデオドライブS(米GI)ほか
  8. Plum Pretty(2008.3.4)
    →ケンタッキーオークス、アップルブロッサムH(米GI)ほか
  9. Coffee Clique(2010.2.24)
    →ジャストアゲームSほか
  10. Mshawish(2010.5.16)
    →ガルフストリームパークターフH(米GI)ほか
  11. Lochte(2010.3.7)
    →ガルフストリームパークターフHほか
  12. Violence(2010.3.21)
    →キャッシュコールフューチュリティ(米GI)ほか
  13. Bar of Gold(2012.2.9)
    →ブリーダーズカップ・フィリー&メアスプリント(米GI)ほか
  14. Vancouver(2012.10.25)
    →ゴールデンスリッパー(豪GI)ほか
  15. Dickinson(2012.2.2)
    →ジェニーワイリーS(米GI)ほか
  16. Songbird(2013.4.30)
    →ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ(米GI)、コティリオンS(米GI)、オグデンフィップスS(米GI)、デラウェアH(米GI)、アラバマS(米GI)、サンタアニタオークス(米GI)、CCAオークス(米GI)、シャンデリアS(米GI)、デルマーデビュタントS(米GI)ほか
  17. Talismanic(2013.2.28)
    →ブリーダーズカップ・ターフ(米GI)ほか
  18. Astern(2013.9.24)
    →ゴールデンローズS(豪GI)ほか
  19. New Money Honey(2014.5.1)
    →ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルフィリーズ、ベルモントオークス招待S(米GI)ほか
  20. Elate(2014.4.10)
    →アラバマS、ベルデイムS(米GI)ほか
  21. Bolt d’Oro(2015.3.17)
    →デルマーフューチュリティ(米GI)、フロントランナーS(米GI)ほか

GI勝ちを収める産駒を続出させている名種牡馬Medaglia d’Oroですが、第135回ケンタッキーオークスで20と4分の1馬身差の大圧勝を収め、第134回プリークネスSで85年ぶり史上5頭目の牝馬による制覇を果たしたRachel Alexandra、GI9勝の名牝Song Birdと、傑出馬は女馬寄りに見えます。ともあれ、今年2017年の第34回ブリーダーズカップ・ターフを制したTalismanicもいるように、もちろん男馬も強い。米国でも花開いたSadler’s Wellsの血、21世紀のこれからにも期待が掛かります。

*

グレイル 牡 黒鹿毛 2015.3.7生 安平・ノーザンファーム生産 馬主・(株)カナヤマホールディングス 栗東・野中賢二厩舎

グレイル(2015.3.7)の4代血統表
ハーツクライ
鹿毛 2001.4.15
種付け時活性値:1.25
サンデーサイレンス
青鹿毛 1986.3.25
★Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Wishing Well
鹿毛 1975.4.12
Understanding 1963.2.17
Mountain Flower 1964.3.23
アイリッシュダンス
鹿毛 1990.3.26
トニービン
鹿毛 1983.4.7
カンパラ 1976.2.19
Severn Bridge 1965
ビユーパーダンス
黒鹿毛 1983.2.26
Lyphard 1969.5.10
My Bupers 1967.6.1
プラチナチャリス
黒鹿毛 2006.1.24
仔受胎時活性値:2.00(0.00)
ロックオブジブラルタル
鹿毛 1999.3.8
種付け時活性値:1.50
デインヒル
鹿毛 1986.3.26
★Danzig 1977.2.12
Razyana 1981.4.18
Offshore Boom
栗毛 1985.3.23
Be My Guest 1974.4.12
Push a Button 1980.5.30
シルバーチャリス
鹿毛 2001.3.25
仔受胎時活性値:1.00
Rainbow Quest
鹿毛 1981.5.15
種付け時活性値:0.75
Blushing Groom 1974.4.8
I Will Follow 1975.4.29
シルバーレーン
黒鹿毛 1985.2.10
仔受胎時活性値:1.75
Silver Hawk
鹿毛 1979.4.20
種付け時活性値:1.25
Strait Lane
黒鹿毛 1974.3.27
仔受胎時活性値:0.50

<5代血統表内のクロス:Northern Dancer5×5×5>

グレイル(2015.3.7)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ハーツクライ
(Halo系)
ロックオブジブラルタル
(Danzig系)
Rainbow Quest
(Red God系)
Silver Hawk
(Roberto系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ロックオブジブラルタル
(プラチナチャリス)
5.25 or 3.25 半兄ロジチャリス
(No. 5-g)
5番仔
(5連産目)

2017年の第4回ラジオNIKKEI杯京都2歳S(GIII)。単勝1.7倍の圧倒的1番人気馬タイムフライヤー(2015.2.1)を道中マークする形で進めた単勝4.8倍の2番人気馬グレイル。4角では先に抜け出したタイムフライヤーの勝ちパターンかと思った刹那、外から強襲すると、決勝点では「アタマ」だけ差し切っていました。グレイル、新馬勝ちから返す刀で重賞勝ちを収めて2戦2勝。これはエリートコースに乗りました。そんなグレイルのデビュー戦は、素質馬が揃うことでおなじみの菊花賞(GI)当日の京都芝の新馬戦。今年2017年の第78回菊花賞と同日ということは、その馬場状態は推して知るべしで、京都2歳Sと同じ京都芝2000mの勝ち時計は2分12秒9(!!)。グレイル、京都2歳Sは2分1秒6で勝ち切り、持ち時計を一気に11秒以上縮めました。まま、菊花賞当日の馬場が極悪過ぎたというところですが、不良馬場でも良馬場でも対応できるところを見せたのは、これから大舞台に臨む上で、大きな強みでしょう。グレイル、その馬名意味は「聖杯」です。

グレイルの馬主である(株)カナヤマホールディングスは、第49回函館2歳S(GIII)を制したカシアス(2015.3.27)に続く2歳重賞制覇となりました。2歳重賞で「黒、緑星散、袖緑縦縞」の勝負服がやけに目立つなと思えば、第52回デイリー杯2歳S(GII)でジャンダルム(2015.4.25)の2着だったカツジ(2015.4.27)、第22回東京スポーツ杯2歳S(GIII)でワグネリアン(2015.2.10)の3着だったシャルルマーニュ(2015.3.31)も、同じく(株)カナヤマホールディングスの持ち馬。(株)カナヤマホールディングスは、2015年生まれ世代の現2歳が3世代目の持ち馬のようですが、勢いがありますね。

では、以下にグレイルのごく簡単な近親牝系図を示しておきます。なお、近親牝系図内のレース名、格付けはいずれも施行当時のものです。

シルバーレーン 1985.2.10 3勝 グロット賞(仏GIII)ほか
|Misty Silver 1992.1.3 不出走
||マルターズホーク 1997.5.9 6勝 共同通信杯4歳S(GIII)3着
||シベリアンホーク 2000.3.12 4勝 キャピタルS(OP) 京成杯AH(GIII)2着
|ブラックホーク 1994.5.14 9勝 安田記念(GI) スプリンターズS(GI) スワンS(GII) ダービー卿CT(GIII) 阪急杯(GIII)ほか
|シルバーチャリス 2001.3.25 不出走
||プラチナチャリス 2006.1.24 0勝
|||ロジチャリス 2012.2.11 現役 ダービー卿CT(GIII)ほか
|||グッドスカイ 2013.2.9 現役 新潟ジャンプS(J・GIII)ほか
|||グレイル 2015.3.7 (本馬) ラジオNIKKEI杯京都2歳S(GIII)
|ピンクカメオ 2004.4.24 4勝 NHKマイルカップ(GI)ほか
|カウアイレーン 2006.4.9 5勝 ターコイズS(OP) クイーンS(GIII)3着

近親に重賞好戦馬が揃う、活力充分の5号族。特にグレイルは半兄ロジチャリス、半姉グッドスカイがJRA重賞を制しており、3きょうだいによるJRA重賞制覇となりました。これは母プラチナチャリスを尊ぶべきですけれど、残念ながら、プラチナチャリスはグレイルが生まれた9日後、2015年3月16日に死亡しています。母の忘れ形見となったグレイル、亡き母に捧げるGI勝利が遂げられるか、楽しみにしたい若駒です。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。


カルティエ賞年度代表馬を辿る(其の拾壱)-ファンタスティックライト(1996.2.13)-

ファンタスティックライト 牡 鹿毛 1996.2.13生 米国・Gainsborough Farm Inc. 生産 馬主・Maktoum bin Rashid Al Maktoum→Godolphin Stables 英国・Sir Michael Stoute厩舎→UAE・Saeed bin Suroor厩舎

ファンタスティックライト(1996.2.13)の4代血統表
Rahy
栗毛 1985.2.18
種付け時活性値:0.50
Blushing Groom
栗毛 1974.4.8
Red God
栗毛 1954.2.15
Nasrullah 1940.3.2
Spring Run 1948
Runaway Bride
鹿毛 1962
Wild Risk 1940
Aimee 1957
Glorious Song
鹿毛 1976.4.22
Halo
黒鹿毛 1969.2.7
Hail to Reason 1958.4.18
Cosmah 1953.4.4
Ballade
黒鹿毛 1972.3.10
Herbager 1956
Miss Swapsco 1965.2.25
Jood
鹿毛 1989.4.17
仔受胎時活性値:1.50
Nijinsky
鹿毛 1967.2.21
種付け時活性値:1.25
Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Flaming Page
鹿毛 1959.4.24
Bull Page 1947
Flaring Top 1947
Kamar
鹿毛 1976.5.13
仔受胎時活性値:1.00
Key to the Mint
鹿毛 1969.3.9
種付け時活性値:1.50
Graustark 1963.4.7
Key Bridge 1959.4.10
Square Angel
鹿毛 1970.4.4
仔受胎時活性値:1.25
★Quadrangle
鹿毛 1961.4.16
種付け時活性値:0.00
Nangela
鹿毛 1965.4.19
仔受胎時活性値:1.00

<5代血統表内のクロス:Nearco5×5、Menow5×5、Almahmoud(♀)5×5、Cohoes5×5、Nearctic4×5(母方)>

ファンタスティックライト(1996.2.13)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
Rahy
(Blushing Groom系)
Nijinsky
(Northern Dancer系)
Key to the Mint
(Ribot系)
Quadrangle
(Blenheim系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
Key to the Mint
(Key Bridge)
4.75 近親に重賞勝ち馬多数
(No. 14-c)
3番仔?
(3連産目?)

*

第42回マンノウォーS(米GI。ベルモントパーク芝11F)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 1 ファンタスティックライト 牡4 57.2 J D Bailey 2:17.44 Saeed bin Suroor 1
2 8 Ela Athena 牝4 55.8 Mike E Smith 1 Michael Jarvis 7
3 3 Drama Critic 牡4 57.2 John R Velazquez クビ Mark Hennig 6
4 4 John’s Call せん9 57.2 J-L Samyn 2 Thomas H Voss 2
5 2 Gritty Sandie せん4 57.2 Edgar S Prado アタマ James J Toner 5

*

第14回香港カップ(GI。シャティン芝2000m)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 11 ファンタスティックライト 牡4 57.2 Frankie Dettori 2:02.20 Saeed bin Suroor 1
2 3 Greek Dance 牡5 57.2 Johnny Murtagh 1 3/4 Sir Michael Stoute 3
3 7 Jim And Tonic せん6 57.2 Gerald Mosse 短アタマ F Doumen 2
4 1 Forbidden Apple 牡5 57.2 J Santos 1 1/2 Christophe Clement 6
5 14 Elle Danzig 牝5 55.8 Darryll Holland クビ A Schutz 10

*

第40回タタソールズ金杯(愛GI。カラ芝10F110y)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 1 ファンタスティックライト 牡5 57.2 Frankie Dettori 2:13.40 Saeed bin Suroor 1
2 6 Golden Snake 牡5 57.2 Pat Eddery クビ John Dunlop 3
3 4 Kalanisi 牡5 57.2 Kieren Fallon 3 Sir Michael Stoute 2
4 5 Give The Slip 牡4 57.2 Richard Hills 1 Saeed bin Suroor 6
5 3 Bach 牡4 57.2 Mick Kinane 7 A P O’Brien 5

*

第108回プリンスオブウェールズS(英GI。アスコット芝10F)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 2 ファンタスティックライト 牡5 57.2 Frankie Dettori 2:04.40 Saeed bin Suroor 2
2 9 Kalanisi 牡5 57.2 Kieren Fallon 2 1/2 Sir Michael Stoute 1
3 5 Hightori 牡4 57.2 Gerald Mosse 3/4 P Demercastel 4
4 4 Observatory 牡4 57.2 Richard Hughes 1 1/4 John Gosden 3
5 6 Give The Slip 牡4 57.2 Richard Hills 3 Saeed bin Suroor 6

*

第26回愛チャンピオンS(GI。レパーズタウン芝10F)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 2 ファンタスティックライト 牡5 59.0 Frankie Dettori 2:01.80 Saeed bin Suroor 2
2 4 Galileo 牡3 55.8 Mick Kinane アタマ A P O’Brien 1
3 7 Bach 牡4 59.0 Seamie Heffernan 6 A P O’Brien 3
4 3 Give The Slip 牡4 59.0 Richard Hills 4 Saeed bin Suroor 4
5 1 Ice Dancer 牡3 55.8 P J Scallan 6 A P O’Brien 7

*

第18回ブリーダーズカップ・ターフ(米GI。ベルモントパーク芝12F)の結果(上位5頭)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 2 ファンタスティックライト 牡5 57.2 Frankie Dettori 2:24.36 Saeed bin Suroor 1
2 12 Milan 牡3 54.9 Mick Kinane 3/4 A P O’Brien 4
3 8 Timboroa 牡5 57.2 Edgar S Prado 5 3/4 Robert Frankel 5
4 3 Blazing Fury せん3 54.9 Corey S Nakatani 3/4 James J Toner 8
5 11 Hap 牡5 57.2 J D Bailey 3 1/4 William Mott 3

*

2000年の第20回ジャパンカップ(GI)において、テイエムオペラオー(1996.3.13)の強さを「Crazy Strong!!」と称えられたランフランコ・デットーリ騎手。自身の騎乗馬も3着と頑張りましたが、その際の相棒がファンタスティックライト。

そんなファンタスティックライトとデットーリ騎手は、翌2001年の第4回ドバイシーマクラシック(当時UAE・GII。現UAE・GI)でも、ステイゴールド(1994.3.24)と武豊騎手の鬼追い込みに屈して2着。

けれど、日本馬に対する2度の敗戦がファンタスティックライトの「何か」に火を着けたのか、第4回ドバイシーマクラシックより後のレースは、ファンタスティックライト自身が、「Crazy Strong!!」と思える強さを発揮し続けました。

特に第26回愛チャンピオンSにおけるGalileo(1998.3.30)との一騎打ちは目を見張ります。最後の直線は他馬を置き去りにして完全に2頭のマッチレース。内のロイヤルブルーの勝負服と5歳の鹿毛馬、外の濃紺の勝負服と3歳の鹿毛馬より7ポンドも重い斤量もなんのその、アタマだけ振り切ったところが決勝点。どんだけ強いねん、ファンタスティックライト^_^;

押しも押されぬ超一流馬まで登り詰めたファンタスティックライト。引退レースとなった第18回ブリーダーズカップ・ターフも、第225回英セントレジャー(GI)勝ち馬Milan(1998.3.8)を抑えて、ベルモントパーク芝12Fを2分24秒36のレコードで駆け、有終の美を飾りました。

そうして、ファンタスティックライト。2001年のカルティエ賞年度代表馬および最優秀古馬、併せてエクリプス賞最優秀芝牡馬に輝いたのでした。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。

<参考WEB>


中島国治氏関連馬(其の拾壱)-カミノクレッセ(1987.5.30)-

カミノクレッセ 牡 鹿毛 1987.5.30生~2014.7.8没 浦河・昭和牧場 馬主・野上政次氏 栗東・工藤嘉見厩舎

カミノクレッセ(1987.5.30)の4代血統表
アンバーシヤダイ
鹿毛 1977.3.10
種付け時活性値:0.25
ノーザンテースト
栗毛 1971.3.15
▲Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
Nearctic 1954.2.11
Natalma 1957.3.26
Lady Victoria
黒鹿毛 1962.2.20
Victoria Park 1957.5.10
Lady Angela 1944 ♀
クリアアンバー
黒鹿毛 1967.5.8
★Ambiopoise
鹿毛 1958.5.6
Ambiorix 1946
Bull Poise 1948
One Clear Call
鹿毛 1960.5.21
Gallant Man 1954
Europa 1949
シヨウワロマン
鹿毛 1981.3.2
仔受胎時活性値:1.25
コインドシルバー
黒鹿毛 1974.4.19
種付け時活性値:1.50
Herbager
鹿毛 1956
Vandale 1943
Flagette 1951
Silver Coin
黒鹿毛 1965.3.10
Never Bend 1960.3.15
Silver Spoon 1956.3.6
ヒデシヤイン
栗毛 1967.3.1
仔受胎時活性値:1.25
ボウプリンス
栃栗毛 1952
種付け時活性値:1.50
★Prince Chevalier 1943
Isabelle Brand 1943
ジヤンダーク
黒鹿毛 1956.5.25
仔受胎時活性値:0.50
シマタカ
鹿毛 1944.2.27
種付け時活性値:0.75
トートレル
黒鹿毛 1949
仔受胎時活性値:1.50

<5代血統表内のクロス:Lady Angela(♀)4×5(父方)、Bull Lea5×5(父方)>

カミノクレッセ(1987.5.30)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
アンバーシヤダイ
(Northern Dancer系)
コインドシルバー
(Herbager系)
ボウプリンス
(Prince Chevalier系)
シマタカ
(Blandford系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
コインドシルバー
(Lalun)
4.50 甥エアガッツ
(No.11-e トートレル系)
3番仔
(3連産目)

*

[カミノクレッセの主な戦績]

  1. 日経新春杯(GII)、ブリーダーズゴールドカップ(現JpnIII)
  2. 天皇賞・春(GI)、宝塚記念(GI)、安田記念(GI)、阪神大賞典(GII)
  3. 天皇賞・秋(GI)、札幌記念(当時GIII、現GII)

通算31戦9勝、2着7回、3着4回。

*

第39回日経新春杯(GII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 5 カミノクレッセ 牡5 57 南井克巳 2:15.2    47.1 494
[+8]
工藤嘉見 2
2 1 ホワイトアロー 牡5 57 田原成貴 2:15.5 2 47.2 492
[0]
小野幸治 1
3 4 エリモパサー 牡5 57 猿橋重利 2:15.7 1.1/4 47.8 514
[0]
沖芳夫 8
4 12 ダンディスピリット 牡5 57 加用正 2:15.7 ハナ 47.6 456
[+16]
北橋修二 12
5 7 ナイスナイスナイス 牡6 57 河内洋 2:15.8 1/2 47.6 490
[0]
長浜博之 4

1992年の第39回日経新春杯。カミノクレッセ、満5歳の始動は伝統のGIIから。第104回天皇賞・秋(GI)4位入線3着から3カ月ぶりの実戦、先行策から押し切ってJRA重賞初制覇と共に芝の初勝利を遂げました。サスガの充実ぶりでした。けれど、まさか最後の勝利になってしまうとは……。

*

第40回阪神大賞典(GII)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 4 メジロマックイーン 牡5 59 武豊 3:13.5    48.9 492
[0]
池江泰郎 1
2 5 カミノクレッセ 牡5 58 南井克巳 3:14.3 5 49.5 496
[+2]
工藤嘉見 2
3 6 ポーカーフェイス 牡6 57 岡潤一郎 3:15.7 9 50.7 484
[-6]
安藤正敏 6
4 3 エリモパサー 牡5 57 猿橋重利 3:15.7 ハナ 51.2 516
[-2]
沖芳夫 4
5 1 ミスターアダムス 牡7 57 本田優 3:16.1 2.1/2 51.3 474
[-2]
星川薫 3

1992年の第40回阪神大賞典。少頭数6頭立ての戦いは、2頭の一騎打ちと見られていました。単勝1.3倍の1番人気馬メジロマックイーン(1987.4.3)と単勝2.6倍の2番人気馬カミノクレッセ。カミノクレッセ、必死に食らいついたものの、結果5馬身差の2着。連続銀メダル走の始まりは、ここからでした。

*

第105回天皇賞・春(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 5 メジロマックイーン 牡5 58 武豊 3:20.0    48.2 490
[-2]
池江泰郎 2
2 7 カミノクレッセ 牡5 58 田島信行 3:20.4 2.1/2 48.2 498
[+2]
工藤嘉見 4
3 8 イブキマイカグラ 牡4 58 南井克巳 3:21.3 5 48.6 444
[-8]
中尾正 3
4 3 ホワイトアロー 牡5 58 田原成貴 3:21.5 1 49.2 492
[-4]
小野幸治 11
5 14 トウカイテイオー 牡4 58 岡部幸雄 3:21.7 1.1/4 49.7 480
[0]
松元省一 1

1992年の第105回天皇賞・春。「世紀の対決」と目された一戦。無敗の7連勝のトウカイテイオー(1988.4.20)対防衛王者メジロマックイーン。そんなパーソロン(1960)の直系子孫どうしの対決は、両雄並び立たず、「どんなもんだい」とメジロマックイーンが快勝。後を追ったのは、メジロマックイーンと同じ最速の上がり4ハロン48秒2の脚を使って伸びた、カミノクレッセ。前走阪神大賞典の5馬身差を、半分の2と2分の1馬身に詰めたものの、2着に終わりました。

*

第42回安田記念(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
3F
馬体重
[前走比]
調教師
1 18 ヤマニンゼファー 牡4 57 田中勝春 1:33.8    36.5 454
[+2]
栗田博憲 11
2 8 カミノクレッセ 牡5 57 南井克巳 1:33.9 3/4 35.8 504
[+6]
工藤嘉見 5
3 2 ムービースター 牡6 57 武豊 1:34.0 クビ 35.8 426
[0]
坪憲章 10
4 14 マルマツエース 牡4 57 的場均 1:34.0 クビ 35.7 526
[+4]
仲住芳雄 12
5 17 ダイナマイトダディ 牡4 57 加藤和宏 1:34.1 1/2 36.1 458
[0]
鈴木康弘 2

1992年の第42回安田記念。芝3200mの天皇賞・春から、半分の距離となった芝1600mの安田記念。チャレンジャーのローテーションで挑んだカミノクレッセ、上がり3ハロン35秒8というメンバー中2番目の鋭脚を繰り出して追い込んだものの、決勝点で0秒1差、先に抜け出して我慢し切った馬がいました。さながら紅顔の美少年、ヤマニンゼファー(1988.5.27)。この安田記念を含めてGI3勝を遂げた名馬でしたが、当時は重賞未勝利どころか芝未勝利という11番人気の伏兵でした。

*

第33回宝塚記念(GI)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破
時計
着差 上り
4F
馬体重
[前走比]
調教師
1 12 メジロパーマー 牡5 57 山田泰誠 2:18.6    52.2 470
[+2]
大久保正陽 9
2 6 カミノクレッセ 牡5 57 南井克巳 2:19.1 3 52.3 498
[-6]
工藤嘉見 1
3 5 ミスタースペイン 牡4 56 石橋守 2:19.8 4 52.0 486
[+4]
橋口弘次郎 3
4 2 オースミロッチ 牡5 57 松本達也 2:20.6 5 53.8 498
[+4]
中尾正 12
5 3 ダイタクヘリオス 牡5 57 岸滋彦 2:20.6 アタマ 54.0 474
[+2]
梅田康雄 2

1992年の第33回宝塚記念。阪神大賞典、天皇賞・春、安田記念と3走連続2着で臨んだ宝塚記念。「今度こそ」と、ファンはカミノクレッセを単勝2.0倍という1番人気に押しました。けれど、悲しいかな、またもや1頭、先んじた馬がいました。後になって語り継がれるメジロの1987年生まれ世代、3年連続メジロ勢の優勝となった2年目、阪神芝2200mを逃げ切ったのは、メジロパーマー(1987.3.21)。どうしても、どうしても、どうしても。カミノクレッセの前に、1頭だけ立ちはだかったのでした。

*

1992年の春の古馬GI3連戦。カミノクレッセにとっては、メジロマックイーン、ヤマニンゼファー、メジロパーマーと、後で振り返るといずれも複数GIを勝つ馬との勝負となったのは、「不運だった」としか言いようがありません。

けれどそれでも、砂ぼこりも舞った淀芝3200m、当時歴代2位タイの高速決着となった府中芝1600m、今となっては尋常ではない重さの洋芝だった仁川芝2200mと、まったく条件の違うコース、距離のGIレースで、よくぞ3走連続2着と好走を続けられたものです。それは、取りも直さず、カミノクレッセの能力の高さを示しています。

そしてまた、全9勝のうち実は8勝がダート戦であり、当時は牡牝混合だった札幌ダート2400mのブリーダーズゴールドカップを大圧勝しているように、現在のようなダート路線があれば、砂街道の主役だったかも知れません。まま、同期にナリタハヤブサ(1987.4.28)もいましたが^_^;

ともあれ、カミノクレッセ。あの3連続銀メダル走から四半世紀を過ぎた今を以てして、人々の記憶に残る、名脇役でした。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。