中島国治氏関連馬(其の拾参)-アップセッター(1980.4.27)-

アップセッター 牡 黒鹿毛 1980.4.27生 新冠・明和牧場生産 馬主・ホースマン 美浦・田中和夫厩舎

アップセッター(1980.4.27)の4代血統表
ダンデイルート
鹿毛 1972.5.10
種付け時活性値:1.75
Luthier
黒鹿毛 1965.3.22
Klairon
鹿毛 1952
Clarion 1944
Kalmia 1931
Flute Enchantee
鹿毛 1950
Cranach 1938
Montagnana 1937
Dentrelic
栗毛 1965.3.20
Prudent
栗毛 1959.4.20
My Babu 1945
Providence 1947
Relict
鹿毛 1958
Relic 1945
Fakhry 1940
クレージーキルツ
鹿毛 1970.3.3
仔受胎時活性値:0.25

Northern Dancer
鹿毛 1961.5.27
種付け時活性値:0.00
Nearctic
黒鹿毛 1954.2.11
Nearco 1935.1.24
Lady Angela 1944
Natalma
鹿毛 1957.3.26
Native Dancer 1950.3.27
Almahmoud 1947.5.18
Heather Noble
鹿毛 1964.4.17
仔受胎時活性値:1.25
King of the Tudors
栗毛 1950
種付け時活性値:1.25
Tudor Minstrel 1944.2.16
Glen Line 1942
Maid of Flight
黒鹿毛 1951
仔受胎時活性値:1.00
Count Fleet
黒鹿毛 1940.3.24
種付け時活性値:0.50
Maidoduntreath
黒鹿毛 1939
仔受胎時活性値:0.75

<5代血統表内のクロス:Mahmoud5×5、Djebel5×5(父方)>

アップセッター(1980.4.27)の0の理論的総括
母父 祖母父 曾祖母父
ダンデイルート
(Clarion系)
★Northern Dancer
(Nearctic系)
King of the Tudors
(Owen Tudor系)
Count Fleet
(Sundridge系)
形相の遺伝 料の遺伝 牝系 母の何番仔?
ダンデイルート
(Luthier)
3.25 半弟ミスタールマン
(No. 20)
2番仔
(3年連続産駒なし後)

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[アップセッターの主な戦績]

  1. ニュージーランドT4歳S(現ニュージーランドT、GII)、新潟記念(現GIII)
  2. 関谷記念(現GIII)、ラジオたんぱ賞(現ラジオNIKKEI賞、GIII)
  3. NHK杯(旧GII)

通算17戦4勝、2着4回、3着2回。

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1983年の第1回ニュージーランドT4歳S(現ニュージーランドT、GII。東京芝1600m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 14 アップセッター 牡3 56 岡部幸雄 1:37.0 田中和夫 1
2 13 アテイスポート 牡3 56 菅原泰夫 2 1/2 野平好男 8
3 9 ルーキーオー 牡3 56 大崎昭一 クビ 中村好夫 4
4 11 エリモタイヨー 牡3 56 武田悟 3/4 夏村辰男 3
5 15 ドウカンヤシマ 牡3 56 大塚栄三郎 3 田中朋次郎 7

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1983年の第19回新潟記念(現GIII。新潟芝2000m)の結果(上位5頭。馬齢は現年齢表記に合わせる)


馬名 性齢
騎手 走破時計
・着差
調教師
1 6 アップセッター 牡3 55 岡部幸雄 2:01.1 田中和夫 1
2 1 スイートカーソン 牝4 52 増沢末夫 1 大和田稔 2
3 4 ヤマノシラギク 牝4 53 桜井誠二 4 大久保正陽 6
4 5 メイジタイガー 牡6 59 菅原泰夫 1 1/2 本郷一彦 3
5 3 キンセイパワー 牝5 53 嶋田潤 2 1/2 清水利章 4

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近年は馬体の大型化が進み400kg未満の小さな馬体の馬を見かけることが少なくなりました。私が競馬を意識してから400kg未満の馬体で重賞を制した馬は、スエヒロジョウオー(1990.4.16)が390kgで第4回阪神3歳牝馬S(現阪神ジュベナイルフィリーズ、GI)を制しています。

そんな400kg未満の小さな馬体で重賞2勝を挙げた馬が、アップセッター。英語では「番狂わせ」としても用いられる「upset」に接尾辞が付いて「Upsetter」。アップセッター、「番狂わせをするもの」という馬名とは裏腹に、重賞2勝は共に1番人気に応えての勝利でした。重賞格上げの初回、記念の第1回ニュージーランドT4歳S。今も昔も府中のマイル戦は厳しい舞台ですけれど、2と2分の1馬身差で完勝。ニュージーランドT4歳S出走時、アップセッターの馬体は380kgだったそうな。その後、ラジオたんぱ賞2着、関屋記念2着と好戦を続けて挑んだ晩夏の新潟記念。左回りの今も右回りの昔も時計が速い新潟の芝、小さな馬体で駆けて残した2分1秒1は、当時のコースレコード。新潟記念出走時、アップセッターの馬体は392kgだったそうな。小さな馬が大きな馬を倒す。その意味では、アップセッターと言うのは、名は体を表していたのでしょう。

私がアップセッターを意識したのは、もっと時を下ってから。故郷を共にするシーバードパーク(1976.4.3)との娘であるキューティアップ(1987.4.18)が、ジャンプレースで活躍したマイネルオーパー(1999.3.25)を送り込み、その母父にアップセッターの名前を見た時。「明和牧場血統、頑張って」と思ったものです。

*

アップセッターの最優性先祖と判断した父ダンディルートは、名物馬主として知られた松岡正雄氏と藤田正明氏の共同所有馬として仏国で走りました。ダンディルートは現役時代に5勝を挙げ、パレロワイヤル賞(仏GIII)、ジョンシェール賞(仏GIII)、ラロシェット賞(仏GIII)とGIII3勝、その他フォレ賞(仏GI)2着、仏2000着ギニー(GI)3着などもある活躍馬でした。

ダンディルートは満3歳の1975年で現役を引退し、翌1976年から日本で種牡馬供用され、1980年に僅か5世代への種付けを残して早世しました。けれど、

  1. トウショウゴッド(1977.4.13)
    →目黒記念・春(現目黒記念、GII)、弥生賞(現GII)、ダービー卿CT(現GIII)ほか
  2. ポリートウショウ(1977.5.26)
    →クイーンC(現GIII)。新潟3歳S(現新潟2歳S、GIII)の勝ち馬トウショウフェノマ(1992.5.29)の母
  3. エイティトウショウ(1978.5.8)
    →中山記念(現GII)2回、金杯(現中山金杯、GIII)、ラジオたんぱ賞ほか。母ソシアルトウショウ(1972.4.2)、叔父トウショウボーイ(1973.4.15)
  4. トウショウペガサス(1979.5.16)
    →中山記念、ダービー卿CTほか。エイティトウショウの全弟にして、上述したスエヒロジョウオーの父
  5. アップセッター(1980.4.27)
    →本稿の主役。ニュージーランドT4歳S、新潟記念ほか
  6. ビゼンニシキ(1981.4.26)
    →NHK杯、スプリングS(GII)、共同通信杯4歳S(現共同通信杯、GIII)ほか。ダンディルートが満8歳時交配のミニモの遺伝馬にして、シンボリルドルフ(1981.3.13)が蹴飛ばしてでも勝とうとした唯一の馬

と、5世代すべてで中央重賞勝ち馬を輩出するという、一流種牡馬の成績を残しました。

ダンディルートは「種牡馬の父」としても優れており、トウショウゴッドは生涯種付け頭数12頭、生産頭数7頭の内の1頭からGIII5勝の名牝ヌエボトウショウ(1987.5.30)を、トウショウペガサスはスエヒロジョウオー、グルメフロンティア(1992.4.19)と2頭のGI勝ち馬を、そしてビゼンニシキはGI2勝を含む重賞7勝の名マイラー・ダイタクヘリオス(1987.4.10)、GIII3勝のハシノケンシロウ(1987.4.14)、統一GIII1勝のコンメンダトーレ(1994.4.18)、ジャンプレース7戦7勝のリターンエース(1988.4.7)等を輩出しました。ダイタクヘリオスが、第34回スプリンターズS(GI)を制したダイタクヤマト(1994.3.13)を出した際は、父系相伝の期待が掛かりましたが、残念ながら、夢は潰えてしまいました。それでも、ダンディルートの血は、今日でも母系によくよく見られます。Tourbillon(1928)系の異系の血、後世に伝えられることを祈ります。

  

それでは、これから走る馬、人すべてに幸多からんことを。